スイッチご使用に際しての注意点をまとめました

1.定格表示について

  • 当社のスイッチの定格表示は抵抗負荷(力率=1)の場合の最大値を示しています。
    従って負荷の種類が抵抗と異なる場合はスイッチの寿命を左右しますので、負荷の特性に配慮してご使用ください。

2.負荷の種類とその影響について

抵抗負荷
  • 抵抗分のみの負荷で 力率(cosΦ)=1 の場合です。 一般的に抵抗負荷として扱う負荷であっても多くの場合 抵抗分のみでなく、誘導または容量分が含まれていますのでスイッチの寿命を考慮すると定格電流の80%位を目安としてご使用ください。
誘導負荷
  • 誘導負荷(リレー、モータ、ソレノイド、トランス等)の場合スイッチ接点の開離時に大きな逆起電圧によるアークが発生し、接点の消耗や移転が起きスイッチの寿命が短くなります。 この様な誘導負荷でご使用の場合は下記の様な接点消耗保護回路の挿入をお勧めします。
DC適用
DC,AC適用
DC適用
DC,AC適用
モータ負荷
  • モータ負荷の場合、モータ起動時には定常電流の3~8倍の電流(起動電流)が流れます。 この電流値はモータの種類によって異なるとともに、スイッチ接点の溶着原因となりますのでモータの種類とその起動電流値を十分配慮してください。 なおモータの正逆転切換にご使用される場合はスイッチ特性がON-OFF-ONタイプのスイッチをご使用の上、モータを一旦停止させてから逆転させるご使用をお勧めします。 もしモータ回転中に逆転させると起動電流の約2倍の電流が流れスイッチの接点を溶着させる恐れが生じます。
モータ種類種 類起動電流
三相誘導電動機カゴ形銘板記載の電流の約5~8倍
単相誘導電動機分相始動形銘板記載の電流の約6倍
単相誘導電動機コンデンサ始動形銘板記載の電流の約4~5倍
単相誘導電動機反発始動形銘板記載の電流の約3倍
モータ起動電流 (参考)
フィラメントランプ負荷
  • フィラメントランプ負荷の場合、スイッチ投入時にランプ冷却状態における突入電流(定常電流の10~15倍)が流れ、それによる発熱から接点が溶着することがあります。 従ってこの突入電流を考慮したスイッチの定格選定をお勧めします。
直流負荷
  • 直流の場合は交流に比べ電圧の変動がないため(電圧、電流がゼロになる点がないため)常時一定電圧が加わり、小負荷でもOFF時に大きなアークを発生し、接点の損傷を起こしやすくなります。 一般にDC.30V以下の抵抗負荷の場合はAC.125Vの抵抗負荷に相応した定格電流までご使用できますが、直流のモータ、ランプ及び誘導負荷の場合は前記の交流の場合と同様にお考えください。 尚、コモン端子のあるスイッチではコモン端子にマイナス極を接続するとアークによる接点損傷の防止に役立ちます。
コンデンサ負荷
  • コンデンサ負荷の場合、スイッチON時の突入電流は理論的には無限大です。 従ってピーク電流を押さえるためシリースに抵抗をつなぐ様にしてください。 抵抗が接続されていないと接点の溶着等の原因となります。

定 格定格に対する倍率(通常は電流)(例)AC.125V.10A
DC(直流)①電圧変更約 1/5(電流はそのまま)
②電流変更約1/10(電圧はそのまま)
①DC. 25V. 10A
②DC. 125V. 1A
ランプ負荷1/2~1/3倍
白熱球の場合通常の10倍近い突入電流が流れます。
AC.125V 3~5A
モータ負荷1/3倍
モータの起動電流は3~8倍
AC.125V. 3A
コンデンサー負荷抵抗をつないで最大電流を抑えることが必要。抵抗値により異なる(別記)
誘導負荷力率0.6の場合
定格値の60%以内で使用する。
AC.125V 6A以内
スイッチの定格に対するご使用負荷の選定基準 (参考)

3.微小電圧・微小電流使用について

  • 接点材に銀または銀合金を使用したスイッチならびに銀メッキが施されたスイッチは微小電圧・微小電流領域(電気的開閉にともなうアーク発生がない電圧・電流領域)でご使用されると使用環境(主に腐食性ガス等)の影響を受けて接点表面に酸化被膜が形成しやすくなり、その結果接触抵抗の増加や接触不安定などの問題が生じます。 この様なご使用には金メッキが施されたスイッチをお勧めします。

4.照光式スイッチについて

ネオン球内蔵のスイッチ
  • ネオン球付照光スイッチはスイッチの定格表示の電圧を基準としたネオン放電電圧制御用の抵抗を内蔵しています。ご使用に際しては定格表示の電圧でご使用下さい。なお、定格表示の電圧より低い電圧でのご使用の場合、ネオン球が発光しない、チラつく、発光輝度が落ちるなどの不具合が発生します。
  • ネオン球は電圧が印加されていない状態にあっても、摩擦電気の帯電等で起こる静電界により誤放電することがあります。 また高周波発信器等による高周波電圧、或いは電気回路からの電磁誘導の影響等によっても誤放電することがありますので配線等、外部状況にご注意ください。
LED内蔵のスイッチ
  • スイッチ回路とLED回路は別回路となっています。またLED回路に電流制限抵抗は接続されていません。 従ってLEDの点灯には動作特性表に記載された適合直流電圧、電流を供給してください。 特性表記載の数値以外でご使用されると適正な輝度が得られなかったり、寿命を短くする場合が生じます。 尚、特性表の各数値は使用電源が完全直流での値を示しています。 従って全波整流電源等、脈流波形でのご使用の際は、ピーク電流値が順方向電流IFを超えぬようご注意ください。 ピーク電流値がIFを超えると寿命が低下します。
  • LED回路には必ず電流制限抵抗Rを直列に接続して、LEDに印加される電圧・電流を制御して下さい。

5.はんだ付けについて

  • フラックスは非腐食性のロジン液をご使用ください。
  • フラックスは必要以上に使わないでください。スイッチ内部に侵入して、接触不良を起こすことがあります。
  • はんだ付けは指定温度以内で、短時間に済ませてください。指定温度以上または、長時間だと絶縁物を破損させ端子の緩みを起こすことがあります。スイッチの種類で多少異なりますが、目安として270℃、3秒以内を基準としてください。
  • はんだ付け作業時には端子部に荷重を加えないでください。また、はんだ付け後1分以内は外力を加えないでください。端子の緩み発生の原因となります。
  • はんだ付け後、溶剤等による洗浄は行わないでください。溶剤の種類によって成形品の劣化が発生します。洗浄が避けられない場合はご相談ください。
  • 押釦スイッチで特性がプッシュON(OFF-ONモーメンタリー)のスイッチは内部部品の熱変形等を避けるため、必ずOFF状態ではんだ付けをおこなって下さい。ON状態でのはんだ付けは熱変形の原因になります。

6.使用環境について

  • 水、油、薬品(含洗剤)、塵埃等が付着する環境、腐食性ガスや高湿度の環境でのご使用はお避けください。 スイッチを構成している部品の電気的、機械的性能を劣化させます。
  • 周囲温度は-10℃~+55℃の範囲内でご使用ください。 範囲外でのご使用は低温の環境の場合、部品の強度が下がったり、グリスの凍結による動作不良等の発生が考えられます。 また、高温の環境の場合、スイッチ内部は当然周囲温度より高くなるため絶縁物の劣化現象等によりスイッチ寿命を著しく短くする原因となりますので避けていただくか、ご相談ください。
  • 気圧が常気圧(気圧86~106kpa)より低い環境でのご使用は空気及び絶縁物の耐電圧性能が下がったことになり絶縁破壊や接点開閉時のアーク発生頻度、量が増え接点寿命を短くしますので電圧電流等を低減してご使用ください。
  • 周囲湿度は35%~85%RHの範囲でご使用ください。 特に高湿度で長時間ご使用されると、例えばマイグレーションの発生により、絶縁劣化に至る場合がありますのでご使用は避けていただくか、ご相談ください。
  • 激しい振動や衝撃が加わる環境でのご使用は接触不良や構成部品の異常摩耗等の発生要因となりますのでお避けください。

7.保管環境について

  • 機構部品の電気的、機械的性能を劣化させないため振動や衝撃が加わったり、腐食性ガス、高温・高湿及び塵埃の多い環境はお避けください。

8.操作について

  • スイッチの操作部には規定操作力以上の荷重や衝撃的な力を加えないでください。規定操作力以上の荷重や衝撃力はスイッチの性能を損なうばかりでなく破壊に至る場合が生じます。
  • スイッチの操作は接点部の適切な接触圧力及び接点の確実な切換機能を確保するため必ず操作部は指定位置まで操作してください。
  • スイッチの操作の際、人体より発生する静電気により、その接続回路に悪影響をおよぼす場合は静電気に対して絶縁された操作部のスイッチをお勧めします。

9.取付について

  • 取付寸法は取付板の材質、仕上げ状態、取付姿勢並びに取付作業性を考慮して決定してください。従って記載されている取付寸法はあくまで参考値としてお考えください。
  • ナットにより取付けるスイッチはスイッチ本体を固定し、付属のナットを指定締め付けトルク以内で回して取付け板に締め付けてください。本体を回して締め付けるとスイッチを壊す場合があります。
  • プリント基板に取付けるスイッチは端子が変形するような力を加えないでプリント基板に装着してください。

10.操作釦の脱着について

  • 押釦スイッチ(釦脱着可能なスイッチにおいて)の釦の脱着を行う場合、オルタネイトタイプ(ONやOFF状態が釦操作に関わらず動作保持されるタイプ)では必ずフリー(ロック解除)状態で行ってください。 ロック状態で行うとそのロック機構が破損する恐れがあります。

11.プラスチック部の手入れについて

  • スイッチの樹脂部のお手入れにはアルコール・溶剤(含洗剤)などの使用はおやめ下さい。樹脂部の劣化を生じ、経年変化を早め部品のヒビ・割れ・破壊に至る可能性が高まります。

12.MJミノムシクリップの電流容量、MJ・ ICクリップの最大許容電流について

  • これらの記載電流値は電流の投入や遮断の値を示すものではありませんのでご注意ください。 従って、これらの接続や取り外しは回路電流を遮断してから行ってください。

13.ACコンセント(MC-037)の定格表示について

  • ACコンセントの定格表示は、負荷力率0.95~1の場合の最大値を示しています。 従って負荷の力率が異なる場合はコンセントの寿命を左右しますので、負荷の特性に配慮してください。 尚、目安として定格電流の80%位での使用をお薦めします。

14.ACコンセントのプラグ抜き差しについて

  • ACコンセントは適正な接触を保持し、異常発熱防止のため必ず適正なプラグを使用し取付け面に対して垂直にプラグを抜き差ししてください。

15.その他の仕様について

  • 各製品ごとに基準等が異なるため、詳細な仕様については個別仕様をご請求ください。 また記載仕様以外の使用は原則として保証しかねますので、その場合はご相談ください。 尚、個別仕様と本内容が重複する場合は個別仕様を優先します。
  • 本カタログの記載内容は製品改良のため、予告なく変更することがあります。

16.弊社製スイッチのDS, MS記号について

  • 品番に「DS-」記号のある製品は「電気用品安全法(PSE)」に準拠した製品です。
  • 品番に「MS-」記号のある製品は、電気用品安全法(PSE)の別表第八の技術基準に準じて、スイッチとして組込まれる製品(セット品)のご使用環境によって準拠できるものと、非準拠になるものがありますのでご注意下さい。
  • 電気用品安全法に関して組込対象製品での準拠基準に関しては認定機関にご確認、ご相談願います。